デザイン事務所で働く人たち。福岡オフィス図鑑 FUKUOKA OFFICE GUIDE

福岡オフィス図鑑01
株式会社マイサ

MOFF!で九州のデザインオフィスを取り上げていく「福岡オフィス図鑑」。
第1回目に取材してきたのは、「株式会社マイサ」。
福岡空港に程近い元倉庫を改装したオフィスにお邪魔し、様々なお話を伺ってきました。

株式会社マイサオフィス

業務の特性にあったオフィス

建物に入ってまず驚くのは、その広々とした開放的な空間。体育館ほどの広さがあり、天井も見上げるほど高い。それもそのはず、ここは元々倉庫だった場所を改装したオフィスだからだ。現在のオフィスに移転して7年。加藤社長がここをオフィスとして選んだ理由は2つある。1つは、業務上大量の在庫ストックやサンプルを保管するための広いデッキスペースをつくりたかったこと。ガラス張りの風除室を抜けるとすぐに眼に飛び込んでくるデッキは、このオフィスのシンボルともいえる。そしてもう1つは、「クリエイティブな発想は感性を刺激する空間で生まれる」という信条からだ。広く白い壁を利用して、照明の立ち上がり方や集まり方を確認したり、製品サンプルのパネルを並べては空間イメージを膨らませたりと、実際のスケール感を体験できるという点も大きなメリットである。さらに、営業の際に使用する車の駐車スペースの費用も都市部と比較するとかなりのランニングコスト削減に繋がるという。

MYSA流コミュニケーション

MYSAのオフィスは郊外にあるため、全員車或いは自転車通勤。アフターファイブに飲みに出かけるということは少ないという。では、社員同士のコミュニケーションの補完はどのように行なっているのだろうか。MYSAでは、ランチタイムに自席で弁当を広げるのではなく、別に設けられたリフレッシュルームを使い、みんなで食事をする。またMYSAにはマラソン部やゴルフ部などがあり、スポーツを通じたコミュニケーションも積極的に行なっている。このことは、各人の健康管理や状態を知る上で有効であるし、仕事以外での達成感・充足感を感じることも出来る。もちろんアルコールのあるフランクな場も重要であるが、子供が出来て親世代になると、次第に飲み会などの機会は減ってくるものである。それよりも、共に汗を流し、言葉でなく分かり合える「スポーツ」というコミュニケーションはとても自然で魅力的なコミュニケーションに思えた。一日の中で多くの時間を費やしているオフィス。この空間に立ってみると、人がオフィスや環境から受ける影響はとても大きいことに気づかされた。

社員にはいつもステキであってほしい

クリエイティブな職業の企業を中心にワークファッションも変化してきている。近年のクールビズの定番化などもその変化に拍車をかけているのだろう。それでは、MYSAらしい働き方のスタイルとは?MYSAには社章があり、自分が社会や企業の中でどこに属しているのかをハッキリと意識することの出来る中で仕事をしている。また、以前は女性から見た時に、清潔感のあるステキな男性であってほしいという思いからブランドスーツを支給していたこともあったそう。ただ、最近では世相の意識も変わり、「打合せに行くと周りはカジュアルな服装の方ばかり。スーツは自分だけで浮いてしまった。」というケースも。時にはジーンズが適した場所もあるということで、現在では個人の裁量に任せている。「働き方やファッションの流れも変化し、よりカジュアルになっていく中で、オフィスだけがいまだ変わらないのは不自然。働き方やファッションの議論がなされるのであれば、オフィス自体の議論ももっとされても良いのでは?」という加藤社長の言葉は、理にかなっている。続けて、「カジュアルは自己主張であり、責任も付いてくる」と付け加えた言葉も印象深い。

暮らしの中で働く

福岡出身でない加藤社長は、なぜ福岡を拠点にしたのか。実はそこにこだわりはないそうだ。どこにいても何でも揃う現代では、むしろ暮らしやすい場所で働き、生活を営むことが自然ではないだろうか、という発想。そこには、以前訪れたドイツでも体験にルーツがある。「ドイツでは大陸続きで複数の国が隣接していて中央と地方との意識的な区切りが薄く、街単位で完結している企業が多い。日本は島国なので中央・地方という構図がはっきりと現れている。しかし、情報のグローバル化が進めば進む程、働く場所の制約は緩和される。つまり働く場所はどこでも良い。充実した暮らしの中で、充実して働くことの重要性が増すのではないだろうか。」正直ハッとさせられた。グローバル化により、人が目まぐるしく、動き・働く未来を想像しがちであるが、加藤社長はグローバル化を、「好きな場所」で暮らしながら、「好きな場所」から動かなくても仕事が出来るという新しい視点で捉えているようだ。最後にこれからのMYSAの展望を伺った。「これまでの建築やデザインの経験を生かして、オリジナルブランドをさらに成長させたい!」生活が楽しくなるアイテムを提案できる福岡の企業として、今後の活躍を心から期待したい。

writing:石畠啓行 / photo : 松島晋也

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MYSA
株式会社マイサ http://www.mysa.co.jp/

福岡県福岡市博多区金隈1-33-23 TEL. 092-513-0113 / FAX. 092-513-0114
●代表:加藤美香 ●創業:平成6年 ●設立:平成9年12月 ●資本金:1,000万円
●事業内容:デザイン・設計、一般建築物の施工、オリジナル製品の製造販売