デザイン事務所で働く人たち。福岡オフィス図鑑 FUKUOKA OFFICE GUIDE

福岡オフィス図鑑04
株式会社綜建

航空機が頭の上を通過する、福岡空港の近くにある【株式会社綜建】の改装計画。
空間だけでなく、サイン・ロゴまでフルリニューアルしたその心中を取材してきました。

株式会社マイサオフィス

「Potential」

福岡空港近くに構えたオフィスが創業以来35年、始めて改装されることとなった。改装にあたり一番の要望はオフィス内に、社員全員と仕事上関係がある職人達が一同に集まって会議が出来るスペースが欲しいという事。新オフィスには大きな木製のテーブルが2つ、オフィススペースの中央に置かれ、普段はそこで昼食をとったり、打合せをしたり、作業スペースになったりと、自然に人が集まるスポットとなっている。もう一つの大きな要望は壁面収納。仕事で使う大量の建材や資材のサンプルをスッキリ収納する為に造った壁面収納は、必要な時にすぐに取り出せるだけでなく空間のアクセントにもなっている。また、間接照明と併せて個人デスク用の手元照明を付ける等、光環境の充実にも力が注がれ、見た目の美しさだけではなく使い勝手の良さも考慮されている。内装業者で自社のオフィスに力を入れている会社は珍しいのではないだろうか。少なくとも私はここまでスタイリッシュな内装業者のオフィスに出会ったのは初めてだった。それは自社のオフィスを改装する事で、社員のモチベーションを高める社内的な効果に加えて、社外的にもモデルオフィスとしてのメリットを狙っているからだと話してくれた椿常務。オフィスを考える上で働く環境も当然重要だが、オフィスを外部に向けてのアピールの場として捉えてみる。その考え方にオフィスリニューアルに含まれる大きなポテンシャルを感じた。

「Home」

実は、社外への外出が常の社員や個別の業務が多い社員程、オフィスに滞在している時間の質が重要になるのではないだろうか。今回取材に訪れた綜建オフィスはそんな事を考えさせられるオフィスであった。社内で行った社風についてのアンケートの中でも、「アットホームな会社」との回答が多く寄せられた綜建では、改装の際にも、その社風を引き継ぐべく、室内に様々な工夫がなされている。エントランスに置かれた石張りの受付カウンターや、オフィスエリアまで続く板張りの床はオフィスに温もりを与え 、各所に散りばめられた植栽はその空間を共有する者をリラックスさせてくれる。また、改装前はコミュニケーションの図りやすいとされている対向式のワークスタイルであったが、改装後は各人集中型の横一列に並んで座るワークスタイルへと変わった。新オフィスに採用された全員の天板が一枚で構成されたデスクは、組織としての一体感を高めるアイデアでもあるのだろう。また、その空気感は外部との空間的な繋がりにも及ぶ。例えば、打合せエリアが隣接したエントランスエリアとオフィスエリアの間にはドアを設けていない。もちろん壁による仕切りはあるが、2つの空間をあえて明確に区切る事はせず、床の高低差や植栽によって緩く分ける事で、互いの空間の距離感、気配を感じられるようにする狙いがあったようだ。「オフィスとはどんな場所か?」との問いに「インターネットブラウザで言うホームボタンのような存在。それは社員達が戻ってくる場所であり、そして力を蓄えてまたスタートする場所でもある」と話してくれた椿常務。社員が互いの繋がりを感じながら働ける、そんな場所であれば例えそこで過ごす時間は短くても十分に仲間意識を共有する事が出来る。そんな思いが存分に反映されたオフィスであった。

「ロゴ」に込めた想い

ロゴマークは会社の顔だと思う。自分の名刺や会社のホームページ、封筒やノベルティにいたるまで、不特定多数の視線に触れる可能性のあるロゴは、自社への帰属意識を喚起させると同時に、「どんな会社なんだろう?」「何を考えている会社なんだろう?」と、お客様にワクワク感や信頼感、安心感をもたらす。綜建ではオフィスの改装と同時に自社のロゴマークも一新した。もともとは工事用のヘルメットにのみ付けられていたが、自社のブランディングという意味で今回新たに作られる事となったのだ。内装業者では珍しいスタイリッシュなロゴは、これまでの綜建の歴史を踏襲して以前使用していた「Sロゴ」をモチーフにしている。自身でもデザインを考えるほど、ロゴマークに強いこだわりを持つ椿常務だが、いくつか上がってきたプランを社員全員での投票で最終的に決定したところは、会社を家と見立てている綜建らしさが伺える。最後に伺った「これからの展望について」という問いに対して、「会社の物理的な成長よりも社員各自の内面的な成長を一番に挙げ、それによって会社全体の成長に繋げたい」とのこと。社員に対して一生懸命向き合っている会社は、きっとお客様とも良い信頼関係が築ける会社なのだろうと確信した。

writing:石畠啓行 / photo : 松島晋也

MYSA
株式会社綜建 http://www.k-soken.jp/

福岡県福岡市東区二又瀬新町10-10 TEL. 092-611-0266 / FAX. 092-621-4444
●代表取締役社長:椿 和喜 ●創業:昭和50年4月1日 ●設立:昭和56年12月25日 ●資本金:1,000万円
●事業内容:・建築材料資材販売・建築工事・内装仕上工事・建具工事・内装工事(オフィスメイン)・建築内装工事・オフィスリニューアル工事・移転工事 ・什器販売・施工 ・パーティション・OAフロア販売・施工